ウンコは汚物に生まれるのではない、汚物になるのだ。

ウンコはどこからきたのか? 

伊沢 「ウンコからの手紙」ですか、面白い。ところで著書のタイトルには『ウンコはどこからきて、どこに行くのか』とありますが、湯澤さんご自身はウンコはどこから来たと考えていますか?

湯澤 このタイトル自体は、歴史から紐解いていく意思表示も込めて、「どこから来たのか」という文言を入れ込みました。ですが改めてどこから来たかと問われれば、土でしょうか。大地で育まれたものを食べて生まれるのが、ウンコですから。

伊沢 なるほど。私はその根本をさらに辿ると、ウンコは太陽からきているんじゃないかと、最近考え始めたんです。

 植物を育むものは、光合成に必要な太陽の光エネルギーですよね。私の著書『ウンコロジー入門』でも、最初に光合成の化学式を載せているのですが、それを読み込めば、植物から始まる地球上の全ての生き物の根源は、太陽エネルギーにあると分かります。そしてそれらの生き物が、ウンコを生み出すわけです。

 子どもの頃を思い出すと、私の古里では秋の収穫祭を「おでねんぶつ」と言ってました。そこで一番印象に残っているのは、全員に振る舞われる大きな円盤形のおにぎりで、黄な粉で真っ黄色なんです。

 今思うと、それは太陽をかたどっていたのかな? つまり「おでねんぶつ」は「お天道様念仏」で、収穫をもたらしてくれた太陽への感謝祭ではなかったのかと考えているんです。

 昔の人は、太陽が持つその根源的な力を、そしてそこから始まる自然界の共生や循環の摂理をきちんと理解した上で、お祈りしていたのかもしれませんね。

ウンコが持つ力を、著書の絵本『ウンコはごちそう』で説明する伊沢さん。

湯澤 それは面白い。確かに、私のひいおばあちゃんも毎朝、お天道様に手を合わせていました。

伊沢 「お天道様が見ているから、悪いことしちゃダメだよ」という言葉も、昔からありますしね。

 理屈で説明がつかなくても、身体で感じられるものはたくさんある。現代人は、何でも頭でっかちに考えて、感じたり経験したりする大切さが失われているように思います。