野糞×SDGs教育。ウンコは最高の教材だ

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清水弘美(浅川小学校校長)×伊沢正名(糞土師)

 清水弘美さんは、『特別活動でみんなと創る楽しい学校』という著書をお持ちの、八王子市立浅川小学校の校長先生。糞土思想をしっかり広めるには子どもたちへの教育からだ、と本気で考える伊沢さんは大きな期待を胸に、浅川小学校に清水校長先生を訪ねました。

 その清水先生の口から最初に飛び出したのは、「学力なんて、どっちでも良い」という衝撃の言葉。そんなパワフルな清水先生は、ウンコを教育にどう生かせるか興味津々。清水先生が注力する特別活動が秘める力や、「ウンコクラブ」創設の話まで、盛りだくさんの対談になりました。

子どもの偏差値は気にしない

清水 伊沢さんの本、拝読しましたよ。渋谷の交差点の茂みで野糞したエピソード、思わず笑っちゃいました(笑)。

伊沢 ありがとうございます。46年も野糞をしていると、いろいろなことがあるんですよ(笑)。私も清水先生の教育方針を御著書で拝見して、感銘を受けました。今日はどんなお話が聞けるか、ワクワクドキドキしています。

清水 ありがとうございます。一般的な小学校と比べると、確かに私の教育方針は変わっているかもしれません。「偏差値を上げろ」「テストで良い点を取らせろ」なんて指導は、一度もしたことがありませんから。

 授業で勉強するような知識は、これからの長い人生の中で、いくらでも身につきます。必要なタイミングで学んでいけばいいんです。そんなことよりも私が重視しているのは、「役に立つ喜びを知る子を育てる」ということ。

伊沢 よく耳にする「知徳体」などではないんですね。

清水 「知徳体」なんて、どっちでも良いです。別に運動神経が良いから素晴らしい人間だ、というわけではありませんから。

 私はそもそも、小学校の教育には2つの目的しかないと思っています。1つめは、自分の良さ、強みを見つけること。そして2つ目は、自分の役割を見つけること。子どもが自分の得意なことで、人の役に立てるようになる。これこそ、小学校教育の中で達成すべき目標です。

 その2つを見つけられるよう、「自分の得意なことはなんだろう?」「得意を活かして、みんなのために何ができるだろう?」と、子ども一人ひとりに考えさせ、行動させる。この手段こそが、特別活動なのです。

伊沢 特別活動には、どんな特徴があるんですか?

清水 特別活動は、普通の教科とは頭の使い方が異なります。

特別活動とは、いわゆる国語、算数などの授業以外の、学校で過ごす全ての時間。ホームルームや給食当番、クラブや運動会などが含まれる。重要なのはきちんと目的を問いかけること。「なぜみんなは美味しく給食が食べられると思う?」という問いかけをし、給食当番という活動の意味や目的を考えた上で、体験させるのがポイントだという。

 国語、算数といった教科は、まず頭で理解させて知識を教えますよね。一方特別活動は、体験から入るんです。

 とにかくやってみる。たくさんやって、失敗してみることで、「もしかしたら、私はこれが得意かも」「なぜこうなっているんだろう、もっと知りたい」と、自分なりの「気づき」を得るのです。

 この「Doing is Learning」が、特別活動の醍醐味なんです。自ら気づいて得た学びは、体に染み込んでいます。腹落ちしていることは忘れないし、迷った時、困った時に立ち帰れる、自分の中の指針になります。