野糞×SDGs教育。ウンコは最高の教材だ

SDGsと野糞

伊沢 浅川小学校の特別活動は、これからどのように発展させていくのですか?

清水 ここ数年は、SDGsに繋げたカリキュラムを作っています。先ほども話に上がったように、これからは人間視点だけでなく、地球視点で物事を考えないといけない。その意識を小学校から養うためです。

 またいくら体験が大事でも、「体験させっぱなし」では学びは半減してしまいます。「持続可能な社会を目指すための特別活動」といった目的を立て、それに対する振り返りがあると、さらに学びが体に染み込んでいくのです。

 その中で私が提唱しているのが、FIDSメソッド。FIDSメソッドは、Feel, Imagine, Do, Shareの頭文字をとっていて、子どもの課題解決を推進する手法です。感じて、想像して、やってみて、共有する。このプロセスを繰り返すことで、子どもが確実に成長していきます。

FIDSメソッドの参考図。自分の感覚で感じ(Feel)、より良いゴールを想像し(Imagine)、自分にできることを行動に移し(Do)、互いの活動を高め合い、仲間を増やす(Share)ことで、課題解決につなげる。

伊沢 FIDSメソッド。初めて聞きました。

清水 当然です。なぜなら、まだ日本で私しか言っていないからです(笑)。

 似たメソッドに、PDCA(Plan, Do, Check, Act)がありますが、PDCAの何がダメかというと、Plan(計画)から入ってしまっている点。「こうすべき」というPlanから入ってしまうと、「なぜ?」「何のため?」という視点が抜けて、どうしても頭でっかちになってしまうんですね。それよりも、「こうしたい」というFeelから入ることが重要。Feelがあるから自分ごとにできるし、そこから教育が始まると言っても過言ではありません。

伊沢 よくわかります。野糞も、「地球環境のためにやれ!」ではなく、楽しいから、気持ちいいから、という気持ちから始めてもらうのが、一番だと思っています。こんな爽やかな風を浴びて、鳥の声を聞きながら、気持ちいい葉っぱで拭いて野糞すればしあわせになれるなんて、良いでしょう?と。

……たとえばこれ、葉っぱじゃなくてノウタケというキノコなんですけど、お化粧で使うパフなんかよりよっぽど肌触り良いですよ。これでお尻拭いたらどうですか?

こんな頬ずりしたくなるほど気持ちいいキノコでお尻を拭けたら、確かに楽しそう…。

清水 ン~~~……最高ですね。

 Feelから入ると、その後の学びのサイクルもうまく回っていくと感じます。FIDSメソッドの最後はShare(共有)ですが、他の人に共有すると学びのレベルが一段アップするんですよ。野糞も一度やってみて、みんなに公言してしまえば、おそらく抵抗感はかなり減りますよね。さらに「次はこんな葉っぱを試してみようか」とステップアップしていく。

伊沢 いやあ、素晴らしい。清水先生のように、トップから改革を進める姿は、本当に刺激的です。ぜひ野糞を使った特別活動、実現したいですね。

清水 ぜひやりましょう。今日はまず校庭を見ていただいて、野糞ができそうなスポットを教えていただければと思います(笑)。

早速校庭で野糞できそうな場所を探す伊沢さん。「この茂みなら余裕ですね!」とのこと。

(写真・構成/金井明日香)