野糞×SDGs教育。ウンコは最高の教材だ

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知識より、気づき

伊沢 「知識」よりも、体験から得た「気づき」が重要というのは、よく分かります。むしろ中途半端な知識は、害になる。物事の一面しか知らないのに、「知っている」と勘違いして、全体像が見えなくなってしまう。

 実は私は勉強が嫌いで、これまでずっと「思い立ったらやってみる」という人生でした。深く考えずに行動するから、しょっちゅう失敗だらけです。でもそこで、「こうやったらダメだ」としっかり体で学べるんですよ。むしろ失敗って、時には周りに迷惑を掛けるかもしれないけど、最も効率のいい確実な学びかもしれませんね。

清水 伊沢さんのように自分で体験、研究して得た気づきは、一生ものですよね。

 たとえば「糞」という漢字が書けるようになるのは「知識」ですが、実際に土の中に野糞をしてみて、ハエが来た、ミミズが来た、何週間か経ったらなくなっていた、という経過を観察して得るのは、「気づき」。

 そこから「なぜあったウンコが消えてなくなったんだろう?」と、考えてみる。自分の体験から疑問を持って得た学びは、教科書で菌の分解の仕組みを学んで得た知識とは比べ物にならないくらい、価値があります。

伊沢 実感が伴っていますからね。私も野糞を続ける中で、お尻を拭くのに適した葉っぱは、自分で試行錯誤しながら見つけてきました。

 一見硬そうに見える葉っぱでも、少し時間が経って水分が抜けてくると柔らかくなります。また、拭き心地がすごく良くても小さかったり薄かったりして心配なら、ダメな葉っぱでいいから丈夫で大きいので裏打ちするとか、2種類の葉っぱを組み合わせることで気持ちよく拭けます。

 このチガヤの穂も、どこにでも生えている雑草ですが、気持ちいいでしょう。

清水 これは、モフモフで快感!もはやトイレットペーパーよりも、贅沢ですね(笑)。フワフワで気持ちいいものに触れると、オキシトシンという「しあわせホルモン」が出るとも言われていますよね。

チガヤの感触を楽しむ清水先生。「伊沢さんの本を読んでから、気持ち良さそうな草を探しちゃうんだよね…」とのこと。

伊沢 そうだったんですね。たとえどんな困難があっても私がノグソをし続けられるようになったのは、気持ちいい葉っぱでお尻を拭くたびにしあわせを感じていて、きっと「しあわせ中毒」になっていたんですね。今初めて気づきました。

 ところでこのチガヤは細長いので、不安な時は大きめの葉っぱに載せて拭くといいです。

 そしてこのコケは、実は女性専用。どういうことかというと、コケは吸水力が高いので、「小」の方に使える葉っぱなんです。女性はオシッコの時にも紙を使いますよね。ほら、こんなに水を吸い込めるんですよ。スポンジみたいでしょう。野糞をして水で洗った後に、お尻を拭くのにも使えます。

清水 ウォシュレットの後に、拭く用ですね(笑)。

コケは、かなりの水を吸収できるありがたい存在とのこと。

伊沢 そうなんです(笑)。コケにとっても、人間に使われて捨てられるのは、都合が良いんです。コケは自力で動くことができないので、もともと生えていた場所から離れた所に捨ててもらえれば、分布を広げることができる。このお互いがWin-Winな関係こそ、共生ですよね。

清水先生の提案で、職員室の先生たちも野糞用の葉っぱを体感。「これで拭くのはもったいないくらい柔らかい…!」と驚きの声が上がった。