糞土師&トビ座の「中卒トリオ」が底辺から仰ぎ見る、この楽しき世界!

ウンコへの偏見をなくすには……

ーー私は最初、ノグソを人々に啓蒙する伊沢さんを遠くからドン引きして見ているタイプでした。こういう人間が多い世の中で、どうしたらウンコに対する偏見をなくせるでしょう? 

 たぶん、ウンコからいきなり入ると、いやいやいや〜ってどうしてもなると思うんです(笑)。今回の劇の場合は、身近に感じてもらえると思って、ウンコが土に還る話にしました。それが自然界にとって良いことだというところから入れば、ウンコは良いものだと純粋に受け入れられるかなと思いました。

伊沢 私はそうじゃなくて、ウンコに興味を持っている子どもから始めるのが一番いいと思ってるよ。子どもはウンコが大好きだから。大人になってからだとある程度理屈で固めないといけないけれど、子どもは楽しい!から入るよね。

それにしてもあの劇はすごく良かったなあ。私は一生懸命やってもなかなか広まらなかったんだけど……いきなりあそこまでやっちゃった2人には負けました(笑)。とっても面白くて。

 ストレートに伝えても受け取ってもらえないことも多いので、とにかく表面上は面白くないといけないと思っています。どうしてもわかってもらえない人はいるのですが。

伊沢 そうそう。全員にわかってもらうのなんて絶対に無理だよね。

 

「19歳らしさ」って?

ーー2人は「19歳のわりにしっかりしているね」と人から言われると思います。でも「19歳らしさ」って何なのでしょうね?

 はい。よく言われます。

佑之助 僕たちは学校に行っていたら今大学生ですが、早くから社会に出ているのでそう思われがちなのかもしれません。

 学校に行っていたら毎年1つずつ階段をのぼる感じがありますが、そういうのがないのが大きいかもしれません。周りの同世代の友達は、みんな将来のことや自分のコンプレックスで悩んでいるんです。とくに進学や就職など次のステージを考えないといけない節目の時期、悩みが出てきやすいみたいです。

でも私たちはそういう節目がないので、わりと常にどうしようって悩み続けています。悩むと一度どん底に落ちるんだけど、最終的にはふっきれる。コンプレックスも今さらどうでもいいわ、みたいになりました。でも普通、落ちようとしてもなかなかそこまで落ちられないかもしれません。それはけっこう大きいのではないかなあ。

伊沢 萌ちゃんは問題をはっきり意識して悩んでいるよね。芸人としてどうやっていくかとか。

 今ははっきりしていますが、昔はそのときどきで違いました。高校に行きたいと悩んだこともあったり、みんなと同じように生きたいという思いもありました。

伊沢 芸人として生きると決めるまでは、そういう時期があったんだ。

 絵も描いていて、あれこれ模索していました。でも他の友人たちは模索できない状況に置かれているので大変だとも思う。

同い年の子に悩みを相談されて、私が「だったら進学を捨てて他のことをやればいいんじゃない」と言うと、「萌の場合は世界が違うし、好きなことやっていられるからいいよね」とか言われます。

佑之助 19歳ぐらいの年だと、友達や先生など相談できる相手が限られていると思うんです。僕たちは仕事柄、さまざまな生き方をしている大人にも接しているので、「これは考えなくてもいいんだな」と新しい選択肢もできるけれど。

 たとえば福岡の出会い橋では、三味線を持って春歌を歌い、投げ銭で生活している女性と知り合いました。そういう人を見て、人ってやっぱりこういうので喜ぶんだなあ、でも私にはできないなあと思ったり。

伊沢 ウンコで食っていこうとしてる変なのもいるしね。

 はい(笑)。