マナちゃん14歳とマサナちゃん69歳、互いの人生に大衝撃を与え合っちゃったお話

批判を受けながら、どうやって自分の信念を保つのか

──眞名さんから伊沢さんにお聞きしたいことがあるとか?

眞名 世の中には色々な人がいるから、ノグソを始めるときにどう思われるか気になりませんでしたか? 伊沢さんはどうやって勇気を持ったんですか?

伊沢 もちろん批判だらけだった。ウンコって不衛生で汚い、ましてやノグソだなんてとんでもないって。でもノグソを始めたきっかけは、し尿処理場反対運動を知って、自分で汚いウンコをしておいて処理場建設には反対だなんて、なんて無責任なんだって。だから私は自分のウンコに責任を持ちたいと思った。

それがノグソの原点だから、ちゃんと責任を果たしてるっていう自信はあったんだよね。趣味でやってたら、なんだお前そんな変なことしやがってと言われるだけかもしれないけど、信念があったから、批判されてもめげるってことはなかった。

眞名 不安もなかったんですか?

伊沢 批判はされても不安ではないよ。わかってくれないっていう悔しさはあったけどね。普通だったら、まず広めるために大事なのは、人に理解してもらうことだって思うよね? でも私は理解してもらおうじゃなくて、強引に理解させる、わからせる(笑)。

ウンコに対する偏見が今の世の中の良識や常識だけど、私はその価値観をひっくり返そうと思ってるわけ。つまりそれは世間の良識や常識をひっくり返すってことだよ。だから相手にわかってもらおう、じゃなくて、わからせるんだって。はっきり言って、ちょっと過激だよね(笑)。

眞名 そういう新しい考え方に出会ったとき、自分の中で改めていこうとするための時間が必要な人もいるかもしれません。

伊沢 人はどういうふうにして変わっていくと思う? 2つあると思うんだけど、1つは感動するものに出会って、こんなに素晴らしいんだから取り入れようっていうパターン。もう1つは、今まで自分の中にあった悪いものを自覚して痛みを感じ、直そうとするパターン。

だからむしろ批判は大事じゃないかと思うんだ。人に批判されて、ここが間違っていたんだ、なんとかしなくちゃって、反省や修正の努力をする。新しいものを自分に取り入れるのは簡単なんだよ、感動すればいいんだから。だけどその人の悪い面を変えようと思ったら、痛みが必要だと思う。

眞名 痛みを自分で気づかないと、なんか……。痛みを気づかされて、ハッとしたときに人は考え方を変えようと思えるというのは、本当にその通りだと思います。

伊沢 お前これどうなんだ!ってトゲを刺すと、相手は痛いと感じればそれを癒やすためになんとか努力するし、そうなれば変わる。そう、だから私は大勢にトゲを刺すことをやってるの(笑)。その中で何人かが気がついて変わってくれればいいなあって。実際、眞名ちゃんにとっても痛みだったわけだよね。命を返していなかったことを知って。

眞名 衝撃でした。

伊沢 衝撃は、感動とはちょっと違うよね。その衝撃を翌朝ノグソして、自分で解決しちゃったわけだから。そういうことをもっと広げていきたいの。だから私は優しく導くんじゃなくて、トゲで痛い思いをさせることをやってる(笑)。とんでもないね。でもそれで眞名ちゃんは変わったろう? 

姫路の宿の近所の竹林で、朝の光を浴びながらノグソする糞土師