マナちゃん14歳とマサナちゃん69歳、互いの人生に大衝撃を与え合っちゃったお話

郷原眞名(中学生)×  伊沢正名(糞土師)

伊沢さんが「俺の人生を変えた人」だと言う郷原眞名(ごうはら まな)さんは、姫路市在住の中学2年生(取材当時)。2人の出会いは、2016年夏に鳥取県で開催されたガガガ学校キャンプ。伊沢さんの講演を聞いて眞名さんは「自分は自然に命を返していない」と衝撃を受け、翌朝ノグソを決行。さらにその体験を夏休みの宿題の作文に書き、県のコンクールに出品。伊沢さんはそれを読んで、「糞土思想が小学生にここまでしっかり届いていたんだ」と深く感銘を受けました。

2019年11月、作文を読んだ姫路市野里地区の人権推進委員会が関心を持ち、伊沢さんの特別講演会を実施。3年ぶりに2人の再会が叶いました。まずは眞名さんの作文からご覧ください。

 

レッツ!くう・ねる・ノグソ

郷原眞名 小5(当時)

 すごく風通しがいい。何てきもちがいいんだろう。今、私はノグソをしている。人生初のノグソだ。私はしんせんな空気と朝の光をあびて幸せな気持ちになった。終わってから土にうめて、竹林からでた。なぜかやる前はきんちょうしていたのに、出し終えて始末をして気持ちが晴々した。みんながほめてくれた。だって自然に私が命をもらったぶんお返しをしたんだもの。8月21日。ここは鳥取県大山町。私はガガガ学校のキャンプに参加しています。

 8月20日。ちょっときんちょうしながらガガガ学校の場所までやってきました。

 キャンプでは、自己紹介をしたり糞土師の伊沢先生に葉っぱとウンコの授業を受けました。ブルーベリー狩りもしました。村の人達から玉ねぎ・カボチャ・ジャガイモ・ピーマン、梨や味瓜を分けてもらいシチューを作りました。竹づくしのディナーも経験しました。竹林で調達した竹から作ったコップ・おはし・器で竹飯ごうご飯を食べた事。この匂いは一生忘れる事の出来ない良い香りです。

<中略>

 夜遅くまで火を囲んで遊んだあと、お手製ベッドで朝までぐっすりよく寝ました。

 8月21日。アメリカン・ドッグを作って食べてしばらくするとキュウとおなかが痛くなってきました。私はすぐに伊沢先生に知らせました。私はお尻を拭くためのキウイの葉2枚とエビヅルの葉2枚、ペットボトルに入れた水を手に先生に付いて竹林に入っていきました。まずトイレとなる穴を足で掘ります。ドッヂボールが入るくらいの大きさです。穴の真ん中に出せるようにしゃがんで頑張りました。葉っぱは拭く時に痛くないように前の日に摘んでおいたものです。葉の裏に生えているフワフワの毛で全く痛くもありません。水でお尻を洗って無事にノグソの終了です。私のノグソは1ヶ月くらいで分解されて土に戻るそうです。その時にはハエ・虫・動物・カビ・キノコ・ミミズ・たくさんの命のごちそうになりながら土にかえるのです。

 ウンコの授業の時に伊沢先生が、「うんこはごちそう」と言われました。一しゅん頭が真白になりました。これって、ウンチを食べるってこと? フォークでさすのかな? とか変なことを考えました。

 キノコの写真がスクリーンに映りました。上から見るとふつうのキノコに見えますが下から見上げてみると、とてもきれいなもようがあって、まるでちがう世界に来たような気分になりました。

 伊沢先生は「見下すのではなく見上げてみるとちがうものが発見できる」。私も先生の話を聞いて一面だけ見るのではなく、相手の色々な面から見るといじめや悪口を言う子はいなくなると思いました。

「人間の命は一つだけでなくたくさんあるんだよ。それは自然から命をもらっているから」と、伊沢先生が言われた言葉に衝撃を受けました。その時、とつぜん私は、なんてことだろう、私は自然に何もお返しができていない。ノグソしなきゃ!と思いました。生まれて10年間私はもらう事ばかりでした。だから正しいノグソをした時、「やったぞー!」と空に向かって大声で自慢したい気分になりました。

 ガガガ学校に参加した3人のお友達、大山町のボランティア見守隊の大人達、テント作りの美術家の滝沢先生、糞土師の伊沢先生のそうぜい15人が一丸となって過ごした2日間は私の宝物になりました。