太陽系の他の星たちもすごい!
――どのように奇跡的なのでしょうか?
関野 まず太陽の話になりますが、太陽の大きさが今の10倍あったら紫外線が強すぎて、惑星は存在できなかっただろうと言われています。小さいと寒冷化してしまいます。だから太陽の大きさも大事なんですね。
伊沢 はあ、そこまで……。
関野 次に、太陽と地球の距離です。金星は太陽との距離が地球よりも近いので、表面温度が平均460度もある灼熱の惑星です。
伊沢 人間はまず生きられませんね。
関野 じゃあ距離が離れれば良いかというと、火星は平均気温がマイナス43度です。つまり地球は絶妙に良い位置にあるんです。それから地球の大きさもちょうどいい。
なぜ我々は地球にいられるかというと、空気があるからです。なぜ空気があるのかというと、重力があるからです。ところが火星だと、地球より小さいので重力も少なく、空気もない。
伊沢 地球って本当に理想的な星なんですね。
関野 なおかつ、これは酸素ができてからの話ですが、地球にはオゾン層がある。現在はオゾンホールが問題になっていますが、オゾン層のおかげで我々は強い紫外線に当たらずに済んでいます。そして月の存在も大きい。
伊沢 月がですか?
関野 地球と一緒に月が太陽のまわりを回り、地球のまわりを月が回っていますが、それによって地球の自転スピードが抑制されています。満潮と干潮があるのは月の引力のせいですよね。
地球から一番近いところで月が引っ張っているため海底と摩擦が起きて、自転が遅くなる。地球ができたばかりの頃はまだ月がなくて、6時間に1回自転していました。
伊沢 そんなに速かったんですか。
関野 さらに月のおかげで地軸がずれ、四季が生まれている。あと、木星と土星の存在も大事です。恐竜が滅んだのはユカタン半島に落ちた隕石が原因でしたが、ああいった地球に来る隕石を、木星と土星が強い重力で引きつけてくれています。つまりもし木星と土星がなければ、地球には隕石がぼんぼん落ちてくるはずなんです。
伊沢 一見関係ないようであっても、偶然がたくさん重なっているんですね。
関野 地球には液体の海があることも重要で、海が二酸化炭素を吸収し、温暖化も防いでくれています。奇跡の星ですよね。
伊沢 知らないことだらけです、すごいなあ。
関野 もっと重要なのが磁場です。地球は鉄の惑星なんです。