若さがあるということ
伊沢 グレタさんは若いから強いのかもしれないと話しましたが、同じ意味で、学生という立場はすごい力を持っていると思います。
今井 学生にとっても、学生同士だから気候ストライキの行動が受け入れられやすい面もあると感じます。
伊沢 そこを今の学生はあまり自覚できていないんじゃないかな。私が学生だった60年代は豊かさを求める昇り調子の時代だったから、将来の夢が簡単に描けた。でも現在は気候変動でもなんでも困難な問題が山積みなのに、今の学生は未来に責任を持っているという自覚があまり感じられないのが、悔しいし寂しいんです。
今井 バイトや友達との付き合いなど日々の生活が忙しすぎて、自分の生活と将来の環境のことをつなげて考える余裕がないのかもしれません。
伊沢 確かにそうかもしれないけれど、余裕は自分で作るものだと思うんです。それから、世の中はこういうものだからって責任を他へ転嫁しちゃって、自分で責任を持つ意識がないのではないでしょうか。
今井 それは教育の影響もありますし、余裕のない社会が存在することは学生である私たちにとっては仕方ないことかなとも思います。だから私たちはこういうイベントを開催して、もしそこに少しでも時間を費やしてくれる人がいたら次のステップに進む可能性も生まれます。
グレタさんがストライキを始めたきっかけの一つは、街行く人をインスパイアするためだそうです。関心を持ってもらい対話する場を作ることが大事なのではないかと今は思います。
伊沢 教育という話が出たけれど、もっと良い世界があることを知らないままだと、人から聞いた情報に流されちゃうよね。たとえば、ウンコについては学校教育では出てこないですよね。
今井 タブー視されていますね。
伊沢 汚いとか臭いとか表面的なことで終わっている。ウンコは自分が出しているもので責任は自分にあるのに、今の教育のあり方はそこを見ないで楽な方へ行っているんじゃないかな。権力に都合の良いほうへ動いたり金儲けに流れたりして。
そこに反旗を翻したいから、私が目指しているのは権力をウンコでやっつけることなんです(笑)。でも使命感だけでは続かないので、快感をプラスしてね。気候問題も楽しさがないと人がついてこないと思いますが、その点はどうしているのでしょう。デモにどうやって楽しさを加えていますか?
今井 デモはあくまで解決手段の一つです。それはわかってほしいのですが、参加したら楽しかったと言ってくれる小中学生の子も多いんです。毎週金曜日に繁華街で立ってデモを行っていて、以前来てくれた子が「今日は歩かないの? みんなで歩くと楽しかったよ」とリピートで参加してくれるんですね。
そして未来に不安を感じて来てくれた参加者同士が同じ気持ちを共有し、ストレスを発散できます。さまざまな背景の方が来てくれているので、同じ価値観を持つ人をもっと増やしたいです。
伊沢 素晴らしいですね。でも全体的に見るとまだ参加者の数が少ないですね。どうやって関心を持つ人を増やすかだよね。私の講演会もまだまだ数が少ないんです。一度聞いてもらったら、こんなに深い話なんだとわかってもらえると思うのですが、ウンコやノグソに対する偏見が強いから、聞いてもらうまでが大変です(笑)。