抗生物質はパンドラの箱か?
服部 それなのに、世界に人口が多すぎると主張しようとするわけですよね。
伊沢 医療の進歩が良くなかったのではないでしょうか。パンドラの箱を開けたようなものでは?
服部 感染症系の化膿を止める抗生物質にはずいぶんお世話になってしまったので、否定するのはなかなか難しい。
伊沢 手に入れてしまったからね。でも江戸時代まではなかったですよね。
服部 些細なオデキすら死因になることもあったようですね。
伊沢 それによって人口を抑制できて、全体のバランスとしては良かったと思うんです。だからその時代に戻すにはどうすればいいか、をいつも考えています。
服部 現代でもヤマギシ会やヒッピーやパーマカルチャー系の人たちはシステムから外れて生きているわけですが、子供の感染症の予防接種とかまで否定できているんですかね?
伊沢 どうなんでしょうね。私は行政が行っている定期健康診断に行くのをやめたんですよ。
服部 50歳過ぎたらやる必要ないですね。
伊沢 ガン検診も、ちょっと度が過ぎていると感じるんです。抗生物質なんかもそうですが、良いものがあるって酷なことでもありますよね。なければ、諦めて終わるだけなんですが。
服部 検診は人命を隠れ蓑にしたサギですね。病気を見つけて、医療費を払わせて、経済効率を上げるための国家戦略です(笑)。
<後編へ続く>
(撮影/藤啓介、構成/大西夏奈子)